皆さま、普段デザイナーがどんなお仕事をしているかご存知ですか?
弊社は仕事柄、建築のデザインに関わることは多いですが、実は弊社にはそれ以外にもグラフィックデザインを担当してくれているデザイナーがいるんです!
今回のコラムでは、本ウェブサイトを中心に神村工務店のグラフィックデザインを担当する増田悠太朗(ますだ・ゆうたろう)さんとの対談をお届けします。代表の神村が新しいことに挑戦していく上で「やりたい」を「実現」してくれる、神村工務店にとって欠かすことのできない若い力。
改めて増田さんのデザインや仕事に対する想いを知りたいとオファーし、対談することとなりました。
神村(以下、J) : まずは悠太朗くんが普段どのようなお仕事をされているのか、改めて教えて下さい。
増田さん(以下、M) : グラフィックデザインの仕事です。具体的にはロゴ、ウェブ、印刷物、パッケージのデザインなど、平面のもののデザインですね。
J : 拠点は東京だけ?
M : デザインの仕事を始めたのは10年前くらいなのですが、基本的には東京を拠点にしていましたが、3年くらい前から宮崎に半移住しています。
5〜6年前から地方の特産品のパッケージデザインだとか、地方自治体が移住者を増やしたいといったキャンペーンや広告を作るような地方の仕事をしていて、その中の一つに宮崎の案件があり、一度行ってみたらすごくいいところだったので半分住んでみようかなと思い住み始めました。今は2週間ごとに東京と宮崎を行ったり来たりしながらという感じで生活しています。
J : 宮崎ではどのようなお仕事をしているの?
M : 宮崎での主な仕事は行政関連の仕事です。宮崎県新富町という人口1万7,000人くらいの小さな町に住んでいるのですが、町役場から発行する広報誌やイベントの広告、特産品のパッケージデザインなどがあります。
今まで町役場が作るデザインといえばWordやPowerPointで作るようなものでしたが、それらを僕がリデザインしていくような仕事。今までデザインが行き届いていなかったところにデザインが入ることによって、変化が生まれてきます。その「変化」がわかりやすく見えてくるので、地元の方も良い反応をくださっているのではないかと感じています。
J : 宮崎で携わったお仕事の中で、特に印象的だった事例とかは何かありますか?
M : 町が主催しているボケ防止・コミュニティの場の形成を目的とした福祉事業の一つで、介護運動教室を行っていました。今までは全然集まらなかったらしいのですが、僕がチラシを作ったところ、20人の募集枠に60人来ちゃったらしくて。
J : ええ、すごい!
M : 本当は週に1回やる予定だったんですが、3倍きちゃったので週に3回に分けてやるようになって大変らしいです(笑)
J : (広告を見て)ああ! かわいい! 「ポジトレ」というネーミングが良いね!
M : この案件はネーミングやコンセプトから文章まで全部任されたので、「わかりやすさ」「覚えやすさ」などを含めて提案できたと思っています。コンセプトから考えて、PRをやっているライターの知り合いの方にネーミングを考えてもらうなどして、全体のデザインをしていきました。
J : ところで先日、カフェのデザインもしていたよね?
M : そうですね、宮崎のお店ですよね。知り合いと一緒にやっているお店です。
J : ええ! 自分でもやってるの!?
M : そうです。宮崎に行く前までは銀座でもカフェの運営をしていたんですよ。
J : Instagramで悠太朗くんがコーヒー淹れていたから、デザインの仕事をしたついでにコーヒーを振る舞ったのかなと思っていたんだけど・・・・・・。デザインの仕事とかけ離れているように感じるけど、お店を始めようと思ったきっかけは?
M : 「デザイナー」という仕事は、基本的にクライアントがいますが、最終的にそのデザインを使う人、見る人はまた別にいます。
例えば、僕からみて神村さんはお客さんですが、神村さんがそのデザインを直接使うわけではありません。さらにその先に最終消費者がいて。デザインの仕事では僕はその方々の反応を直接見ることができないんです。
だけど、飲食店では店舗にいれば自分がデザインしたメニューやショップカードやロゴを見るお客さんの反応をライブ感で見ることができるじゃないですか。僕が作ったメニューを見て「かわいい」とか言ってくれたりするのを間近で見ることができる。
デザインの仕事は「見え方をいかにコントロールするか」だと思っているので。例えば、単純にかっこいいウェブサイトを作る、綺麗なロゴを作るだけじゃなくて、テーブルや椅子をいかに綺麗に整然と並べるかだとか、店員の振る舞いだとか、それらの全てがお客さんの店舗へのイメージに繋がり、ブランディングになっていきます。
それらを実際にやって、観察してみたらもっと自分の仕事に繋がっていくんじゃないかと思ったんです。
J : なるほど・・・・・・、素晴らしい。確かにお客さんの反応を見れないよね。カフェでは接客もしたの?
M : もちろん! やりますよ。むしろコーヒーはちゃんとは淹れられないので接客しかできません(笑)
J : しばらく一緒に仕事をしてきて、神村工務店の印象はどうかな?
M : 初めてお会いした時から印象は変わっていなくて、神村工務店さんとお仕事をするとワクワクするんですよね。
J : 嬉しい!
M : 仕事を進める上で、僕だけがやる気になっていても進まなくて。せっかくデザインを作っても、その会社が商品を売る気がなかったり、広告を作っただけですぐフェードアウトしてしまうことが今までにも結構あるんです。それって僕がダメなデザインを作ってしまったような感覚になる。作って満足しちゃう方が多いんです。
J : 作ってやった気になってしまうことは多いよね。
M : でも、神村工務店さんは新しいことをやっていこうよ、ブログも更新していこうよという姿勢を向けてくださるのでこちらもやりがいがある。会社のためになんとかしよう、頑張ろうという気になれる。
それに信頼してくれていることがよく伝わってきます。信頼して全部任せてくれているというのがよく伝わるので、そういう意味でもやりやすくて仕事をしていて気持ちが良いです。
J : 信頼する人とじゃないと仕事ができないというのはある。
悠太朗くんの返信は力強くて明確。ちゃんと理解して言ってくれているのでモヤモヤせず、新しい気づきをくれたり、無駄がなく間違いがない。やっぱりそれでよかったんだという実感を提供してくれる。
J : 自分のことをどのような人なんだなって思う? 長所とか短所とか?
M : 楽観的で、気が長い、短気ではないですね。
J : 俺も気が長いから・・・・・・似てると思うんだよね。
一同 : ・・・・・・(笑)
J : あれ?
M : 神村さんも楽観的ですよね。
J : 悠太朗くんとミーティングすると必ず「こうしていきましょう」と何か神村工務店を推し進めてくれる存在。話している中でフッっと上がる瞬間があって、月一で会うことによって仕事の波をグッと引きあげてくれる。
M : 確かにどんどん新しいことしてますもんね、本当に。
J : もう思いついたら、迷わず「したい」が出てきて。すぐにLINEで伝えちゃって「お願いします!」みたいな。やりたいを形にできる人なんだと思う。
M : それは神村さんあってのことなので。コラムもInstagramも、ミーティングもちゃんと継続してるってすごいです!
そろそろネタが切れるかなと思っても捻り出してくるんです。「継続」はすごいし、チラシやカレンダーなどどんどん新しいものを作るじゃないですか。
J : 悠太朗くんが生み出してくれるコンテンツが無駄じゃないということ。フル活用させていただいています。
M : 僕が携わったことで神村工務店の業務で起きた相乗効果はありますか?
J : オシャレということかな。
文字一つとか、文字の配置とか、バランスとか見せ方で建築とか繋がる部分はすごくある。
それでいて飽きない。なんか何度も何度も作りたくないから、一度ベースを作ってくれるとどっしり構えられる。
きっちりデザインしてくれてるから、それを見て頼んでくるお客さまってやっぱりちゃんとしたもの作って欲しいと思う方が多い。取引先の方も頻繁にウェブサイトをご覧くださっていて、お付き合いのある工務店の中でも一番良いウェブサイトだと仰っていて。
M : それは嬉しいですね。
J : 最近はウェブサイトを見てから仕事をご依頼くださる方が多い。新規の問い合わせで仕事してるのはもう6件ぐらいあるんです。
この会社はどういう会社なの?ってスマートフォンで見てから連絡をするよね。「大田区 工務店」で検索して、ウェブサイトを見て、スタッフの顔写真とか見たりして、それで問い合わせが来て。社長が僕で、僕が来てくれるというのをみんな怖くないんでしょうね。おそらく顔が見えるから。だから頼みやすい工務店ではあるかなと思う。
デザインは初期投資だと思うし。いい耕し方をしていただいているなと思う。悠太朗くんのデザインに神村工務店が乗っかっていっている側面は大きいし、いい繋がりの中でデザインされ、いいモノ作りに繋がっていくんじゃないかって。
悠太朗くんが分かってくれてデザインしてるからそれができてるのかな。客層もこれから変わってくるのかなとは思う。
J : これからの目標とか展望みたいなものってあるの?
M : 僕は目標とか夢とか全然ない人なんですよね。
確かにひと昔前であれば、3年先、5年先はなんとなく想像できる世界だったと思います。でも今は3年で世界ががらりと変わる時代。世界で日々新しいテクノロジーが生まれ、廃れ、アップデートされ、それらの繰り返しなんですよね。
J : よく社長になると、10年の計画を書きましょうってあるじゃないですか。いまいち僕の中で全然しみてこなくて。小さな会社だけど10年間の計画って・・・・・・って。無駄ですよね。
M : 無駄ですよね、どうせ途中で変わりますから。
スマートフォンで世界は変わったじゃないですか。10年先なんて世界は大きく変わると思いますし、また何か違うテクノロジーが出たらまた新しいビジネスが生まれますし。
だから「今」を楽しむ。今楽しいこと、面白そうだなと思うことに乗っかっていく。今ある仕事を全力でやるだけですね。
J : 結局それが楽しく生きるということに繋がるよね。延いてはいい仕事になったりするんでしょうね。楽しくなきゃ何もプラスになることがない。苦しみながらやる仕事の結果ってそんなにいいとは思ってないから。
M : もし自分に子どもがいたら「別に夢とか持たなくていいよ」と言いたいんです。
僕たちが小学生の頃だったら「パイロットになりたい」とかが1位だったと思うんですけど、もしかしたら10年後は飛行機が全部自動操縦になっていて、パイロットという職業はないかもしれないし、最近の小学生の将来の夢はYouTuberとかも多いと思うんですけど、10年後にYouTuberという職業がまだあるかどうかも分からないじゃないですか。
「夢を持て」とか「目標を持て」って言うのは、完全に「夢ハラスメント」ですよね(笑)
人って未来のことを考えるとだいたい心配とか不安だけになっちゃうです。子どもの時って今のことしか考えないじゃないですか、だから楽しいんですよね。
人間って大人になると「過去」と「未来」のことばっかり考えて「今」のことを考えなくなるんですよ。未来のことは不安や心配、過去のことはたいてい後悔なんです。だから未来のことばかり考えていると、どうしてもネガティブになってしまうんです。
今のことを考えていた方が絶対に楽しいですよ!
J : この話聞いたらもう元気になっちゃうね。いいお客さんと、いい仕事をして、いい仕事を生んでいきたい。
M : 今、目の前にいるお客さんに全力を尽くしていればいいということ。そしたら絶対に次に繋がるんですよ。次の仕事を紹介されて、結果的に将来に繋がっていくと思っています。
J : そうだね、今の仕事に全力を尽くしていい仕事に繋げていきたいね。